現在開催中の9月定例会ですが、本日が一般質問の最終日でした。当選して4度目の登壇の機会をいただき、故郷の思いや県政課題を中村知事をはじめとする理事者の皆様に訴えました!
答弁の要旨を掲載しますのでよろしければご覧ください📝

【問1】医療従事者の業務負担軽減と医療サービスの向上を図る医療現場のDX化をどう推進していくのか。
(知事)
生産年齢人口の減少や高齢化の進行に伴う医療従事者不足や医療需要の変化に加え、医療機関の経営環境の悪化など、地域医療を取り巻く環境が一段と厳しくなる中、デジタル技術による業務の効率化・高度化を図り、社会変化に適応した地域医療体制の構築により、県民が安心して地域で暮らすことのできる環境の確保が重要。
これまで県では、ICTを活用した病院・診療所間の電子カルテの共有をはじめとしたネットワーク構築を支援するとともに、5Gを活用した圏域を超えたオンライン診療や、救急診療の迅速化を図る病院間の情報共有システムなどを構築し、知見やノウハウを積み重ねてきた。今年度からは、医療DX推進協議会を新たに設置し、民間企業と連携しながら、デジタル人材の育成やデジタル実装に向けた先駆的な取組の横展開を図り、地域や医療機関ごとに異なる課題やニーズに即した医療DXを強力に推進していくこととしている。
今後とも、県が旗振り役となり各医療機関の自発的な取組を後押しするとともに、大学や県医師会など関係機関との緊密な連携により、地域や医療機関の実情に応じた医療DXを更に加速し、医療現場の負担軽減と医療サービスの質の向上を図ることで、将来にわたって全ての県民が、安全で質の高い医療を受けられる体制の整備に全力を尽くしてまいりたい。

【問2】市町や事業者がふるさと納税制度への理解を深め、適正な運用につなげるため、どう取り組むのか。
(企画振興部長)
ふるさと納税制度が全国的に広く浸透し、定着する中、県内市町への寄附額も大幅に増加しており、地方の貴重な財源として活用されている。また、本県では、柑橘をはじめ、水産物やタオル、紙製品などの魅力的な産品が、返礼品として全国に届けられ、愛媛ファンの拡大につながっており、地方創生や地域経済活性化の観点からも大きな意義があると思料。
一方、他県では、寄附金の獲得を追求するあまり、返礼品の産地偽装等により国から指定を取り消される事例も見られる。ふるさと納税の本来の趣旨は、寄附を通じた自身のふるさとやお世話になった自治体の応援であり、過度な競争で返礼品基準違反を引き起こすなど、制度の趣旨が歪められることがないよう、自治体や返礼品提供事業者による、適切かつ責任ある対応が求められている。
このため、県では、制度の適正な運用を図るため、市町が提供する返礼品の基準適合状況を確認することに加え、市町や事業者を対象とした返礼品基準の見直しなど制度改正に係る研修会を開催するほか、えひめ9町支援ふるさと納税アドバイザーによるセミナーや個別相談を実施するなど、関係者に対する制度の理解促進に取り組んでいる。今後とも、市町と連携し、本来の趣旨と制度に則りながら、ふるさと納税制度を活用した地域振興に努めてまいりたい。

【問3】本県企業の事業承継の更なる促進に向けてどのように取り組んでいくのか。
(経済労働部長)
県内中小企業経営者の高齢化が進む中、地域経済を維持していくためには、地域の雇用と経営資源を将来につなぐ、事業承継の一層の促進が極めて重要であると認識しており、これまでも、事業承継・引継ぎ支援センターを核に県内61の支援機関により事業承継ネットワークを構築し、個別診断による早期着手の推進や経費助成等に取り組み、令和6年度の同センターにおける成約数は過去最高の68件となった。
一方で、後継者不在率は依然として高水準にあることから、県では新たに、企業名を公表して後継者を募る実証事業に取り組むこととし、昨年12月にWEBサイト「relay the local 愛媛県」を開設して、譲渡情報を掲載しており、今年度からは、市町と連携した広報活動やアンケートにより新規案件の掘り起こしに努めている。さらに、事業承継を契機に新規事業展開などに挑戦する若手後継者向けの伴走支援プログラム「WAVE」を実施し、好事例の創出にも取り組んでいるところ。
今後とも、こうした新たな手法を講じつつ、第三者承継等への不安や懸念を緩和できるよう、事業承継ネットワークと連携した丁寧な相談対応など、県内企業に寄り添った支援に努め、経営者が前向きに取り組む機運の醸成を図り、円滑な事業承継を一層促進してまいりたい。

【問4】令和の米騒動で顕在化した食料安全保障の確保のため、担い手育成や農地の活用にどう取り組むのか。
(農林水産部長)
国民の食料を将来にわたって保障することは、国が取り組むべき基本的な責務ではあるものの、地方の農業振興なくしては実現できないことから、県としては食料の安定供給につながる生産基盤を確保するため、国や市町、関係団体等と連携し、地域農業を担う人材の育成や、農地の活用等に主体的に取り組んでいるところ。
具体的には、担い手の生産力向上等に必要な機械・施設の整備を支援するとともに、農業経営サポートセンターによる認定農業者等への専門家派遣や経営セミナー等を通じて、規模拡大や法人化などの経営基盤強化を後押ししているほか、農地中間管理事業を実施するえひめ農林漁業振興機構を核に、直近10年間で約1千haの優良農地の担い手への転貸や、県内14地区、約142haの水田や樹園地の基盤整備を支援するなど、荒廃農地の発生防止と有効利用を推進している。
今後も、生産現場の状況を的確に把握しながら、雇用を生み、荒廃農地を引き受ける農業法人等、地域や集落を支える次世代の経営体の育成強化を図るとともに、概ね10年後の農地利用と地域農業のあり方を示した地域計画のブラッシュアップを支援していくことで、担い手の確保と農地の集積・集約化による生産性の向上など、県民の食を守るための生産基盤の強化に力を尽くしてまいりたい。

【問5】柑橘産業の更なる基盤強化を果たすべく、広域選果体制の構築と発展に向けてどう取り組んでいくのか。
(農林水産部長)
県内の柑橘産地は、光センサー選果機で厳選された高品質な果実の出荷により、消費者から高い評価と信頼を得てきたが、多くの選果場は整備後20年以上が経過し、老朽化が顕著になるとともに、生産量も整備当時の6割程度に減少しており、産地の維持発展に向けては選果機の更新による機能強化と併せて、地域を超えた選果場の再編統合による広域選果体制の構築が不可欠。
このため、県果樹農業振興計画では、選果機の更新に際し、庭先選別が簡素化できる高性能なAI選果機や、荷役作業の短縮が可能となるパレット出荷システム等を導入し、生産者の負担軽減と物流の効率化を図ることとしているほか、令和12年度までに、現在県内20か所ある選果場を10か所に集約することで、整備コストの圧縮や稼働率の向上、施設運営の省力化など、将来を見据えた広域での再編を目指しているところ。
現在、整備の進むみつる共選に続き、他産地でも再編統合の検討が進められている中で、県としては、将来の需給バランスを十分考慮しながら、コスト削減等による競争力強化と出荷作業等の効率化に向けて、市町や関係団体とも連携し、再編統合を着実に進めていくことで、柑橘王国えひめを支える盤石な生産流通体制を構築してまいりたい。

【問6】(1)原子力防災訓練を始め今後の原子力防災対策の充実・強化に向けて、どのように取り組むのか。
(防災安全統括部長)
県では、原子力災害のみならず、自然災害との複合災害も想定した広域避難計画を策定し、原子力防災訓練において、陸海空あらゆる手段を用いた住民避難訓練に取り組んでいるほか、県道鳥井喜木津線を始め複数の避難路の局部改良を進めるなど、ハード・ソフトの両面から原子力防災対策の取組を着実に進めてきたところ。
今年度は、国と合同で、原子力総合防災訓練を実施することとしており、現在、国や関係自治体、実動機関等と内容の詳細を検討しているが、地震発生から事態が進展し原子力緊急事態に至るまできめ細かく対応する予定であり、各フェーズにおける関係機関、特に官邸を始めとする各省庁との連携をしっかり確認したいと考えている。また、ドローンを用いた初動対応の強化や、放射線防護対策施設の損傷に備えた可搬式エアシェルターの配備、伊方発電所から30㎞圏内で孤立が想定される指定避難所への備蓄物資の整備等にも、鋭意取り組んでいる。
今後とも防災関係機関等と緊密に連携し、訓練を通じた避難対策の検証・改善、避難路や資機材の整備のほか、今月決定した国の指針改正に伴い明確化された屋内退避の運用を周知するなど、常に新しい知見を取り入れながら、原子力防災対策の更なる充実・強化に全力で取り組んでまいりたい。
(2)住民の生命を守り、安定的な電力供給維持のため、四国電力にどのような安全対策を求めるのか。
(知事)
これまで伊方発電所の安全対策については、国任せにすることなく、私自らが四国電力に対して本県独自のアディショナルな安全対策を要請し、国の基準を上回る、おおむね1,000ガルの耐震性の確保や、亀浦変電所からの配電ルートの追加整備による外部電源の多重化のほか、原子力本部の松山市への移転及び原子力部門の最高責任者である取締役副社長の常駐などを実現してきた。また、令和2年の連続トラブルに対する徹底的な原因究明と対策の実施や、使用済燃料の一時的保管の確約と計画的な搬出などを求めてきたところ。
さらに、3号機の30年超運転に当たっては、四国電力が策定し、国が認可する設備の経年劣化に係る長期施設管理計画を、県の伊方原発環境安全管理委員会においても、地元の視点や技術的観点から厳格に確認し、炉内核計装装置の不具合事案も踏まえた製造中止品の管理等の意見を取りまとめ、県から同社に対し、同様事案の再発防止の徹底や管理方法の不断の見直しなどを要請した。
四国電力では、過去のトラブルの教訓や知見を継承する研修施設を開設し、技術力の維持・向上に取り組んでいるが、県としては、今後とも「安全対策に終わりなし」の信念の下、同社に対し、必要な追加対策を要請し、取組状況を確認・指導するとともに、信頼関係の源である「えひめ方式」を徹底し、伊方発電所の安全確保に万全を期してまいりたい。
